プチコラム17 正直なデザイン
数年前に「人は見た目が9割」という本が100万部を超えるミリオンセラーになりましたが、人間にとって「視覚」から入ってくる情報やコミュニケーションがそれだけの割合を占めているという事らしいです。
デザインと聞いて、グラフィックや見た目を連想する人が大半なのもそういう理由なんだと思います。それこそ、9割の人がデザイン=見た目と答えるかも知れません。
それだけ「視覚」に与える影響は大きいという事ですね。
ヴィジュアルマーチャンダイジングという、店舗のデザインを研究している方の研究では、
①五感の中で最も言葉で伝えやすいのは、視覚(75.7%)、味覚(9.9%)、触覚(6.7%)、聴覚(6.0%)、臭覚(1.9%)
②五感の中で最も長く記憶に残るものは、視覚(71.9%)、聴覚(13.8%)、味覚(7.5%)、触覚(3.8%)、臭覚(3.1%)
③五感の中で最も思いでをよみがえらせるものは、視覚(74.3%)、聴覚(11.8%)、触覚(4.8%)、味覚(4.6%)、臭覚(4.6%)
④五感の中で最も感動を覚えるのは、視覚(72.6%)、聴覚(17.6%)、触覚(6.4%)、味覚(3.0%)、臭覚(0.5%)
と、どの調査結果でも視覚の影響力が圧倒的でした。この事はそのまま「脳」へ与える影響、割合という事になります。一言で言えば、視覚的に心地よければ、7割8割方OKという事です。よくよく考えれば、芸術や美術もまずは視覚に訴えることがほとんどですものね。そこに+αとして、他の4感にも働きかける工夫もありますが。
建築・空間、そしてそれ以外の人生や暮らしに関わる全ては、「気分よく」「楽しく」なくては意味がないと思っています。
修業やトレーニングならまだしも、家や暮らしが、ましてや一生をかけて創り上げる環境が、「不快」だったり「ストレス」だったり、さらには「脳への悪影響」を与えるものであっては、建てない方がはるかにマシです。
これらの事を今まで何度も自問自答してきましたが、結局いつも「結論」は一緒です。
理屈や理論や言葉は、見る方向や捉え方によって180度変わります。
工学や科学や医学など、それが重要なジャンルもあると思いますが、建築・空間においては、どうか「感性」を1番の優先事項にして欲しいです。
家は人生のベースですから。私たちが生きていき、子供たちが育っていく環境ですから。
「好き」で「心地良ければ」他は何も要らないと思います。
ぶっちゃけ、私個人的には「資産価値」とか「性能評価証明書」とかどうでもいいです。
皆さんにとって、家づくりは商売ではないですもん。
どうか「好き」な家を、自分に正直な「デザイン」で実現して下さい。
私たちも、そのための協力は惜しみませんので☆