プチコラム11 猫が教えてくれる、失敗しない家づくり
家づくりで重要な、本能が求める「心地よさ」
あちこちで家づくりセミナーを行っていますと、毎回様々なご質問を頂きます。
その中で圧倒的に多いのが「失敗しないためにはどうすれば良いですか?」
というご質問です。
人によって状況や事情は様々ですので、その答えは一人一人違うのですが、どこでも誰でも人間であれば共通する答えもあります。
それは私ではなく、猫が教えてくれます。笑
私はよく、工事現場で猫を探します。
猫は、その場所の一番気持ちの良い場所で寝ているんです。冬なら陽だまりで、夏なら日陰で。昔ながらの大工さんなんかもそれに近くて、大工さんが昼休みに昼寝しているところをチェックして、「あ、こっちのほうが気持ち良いんだ!」なんて感じで、その場で設計を変えてしまってその大工さんに怒られることもありました。
しかし、「住む」って、「生きる」って、そういうことだと思うのです。
この場所で、どこが日当たり良くて、どこが風が抜けて、どこが居心地よいのか。
それ以上でもそれ以下でもない、状況や事情で変わる事が無い唯一の正解だと思います。
私たちは生きている人間で、人間は曖昧です。「心地良い」という感覚も、人によって変わりますし、同じ人でもその時の体調や気分で変わります。計算で出した数値に比べればとても曖昧です。しかしそれが事実で本質です。
「おかしいですね。計算では心地よいと出ているのですが、、」
と言われて、
「そうですか、じゃあ私がおかしいんですね。仕方ない我慢します」
というのは、家という名前の製品としては正しいのかも知れないけれど、その「家づくり」は大失敗なわけです。
家は曖昧な人間のための空間ですから、製品としての品質とともに「曖昧」という実際をもっと真剣に考えないといけません。