プチコラム08 適合素材(人間の身体編)
スーパーなどに並んでいる食品に生産地や生産者などが表示され、成分やその作物の造り方に気を配る世の中になって久しいですが、食べ物以上に皆さんが毎日体の中に取り込んでいるものがあります。それは何か知っていますか?
空気です。
体重50kgの人が一日に吸う空気の量って、ご飯100杯分にもなるってご存知ですか?
空気は呼吸とともに体の中に取り込まれ、肺から血液内に入り全身をこの瞬間も巡っています。例えば、食べ物の食あたりのようにダイレクトに影響が表れるわけではありませんが、常に体内に取り込んでいる空気が、私たちの身体に影響を与えないはずがないですよね。
365日24時間。毎日毎日、少しづつ体内に蓄積していき、ついにそれが「被害」「病気」として目に見える形で表れてしまったのが、「シックハウス」と総称される一連の住宅内での健康被害です。
アスベストもそうですね。
今は使用禁止になったアスベストも、シックハウスを引き起こした様々な「新建材」と呼ばれる人工素材も、発見され、開発された当初は素晴らしい素材だとして称賛されました。
今では「時限爆弾」なんて呼ばれてしまっているアスベストが最初は何て呼ばれていたか知っていますか?「奇跡の鉱物」です。なんて身勝手な話なのだろう、、と思いますよね。
でも、これは起こるべくして起こったと私は思っています。
アスベストは、耐久性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性などの特性に非常に優れ、何より安価であったため「奇跡の鉱物」として重宝されました。
シックハウスの原因となった新建材たちは、大量生産性、低コスト、品質が一律で扱いやすい、加工が容易、腐らない、クレームが起こり辛い、といった特徴がもてはやされました。
どちらも素晴らしい長所を持っています。
でも、、、一つとして「住む人のため」の長所が無いんです。全て、売り手・作り手にとっての長所です。でもこれはほんの一例で、氷山の一角にすぎません。。
今でも不動産業界、建築業界、住宅業界には「自分たちの都合で勝手に前向きに捉える」考え方が、蔓延しているのも現実です。
私たち人間にとって適合する素材は、人間と同じ素材に他なりません。
「生きた人間」=「生きた素材」=「自然素材」です。