プチコラム19 身体の本能に届く木の家
やっぱり家は「木」が良いんです
「森林浴」という言葉があります。
森や林を散策する時などによく聞かれる言葉ですが、ちょっとそれを文化人類学と科学的に見ていきましょう。
まず、人間は現代のような文化に至るまでは、森の中で過ごす生物でした。そのため自然の樹木に触れると本能的にリラックスするということが言われています。
いわばDNAレベルの反応、もしくは「理屈ではない部分」が住宅建築においては最も重要なファクターなのかもしれません。
つまり、データ上では、理論的には快適なはずでも、住まう人が「心地良い」とか「愉しい」と感じなければ何の意味も成さないただの入れ物になりかねません。
この「理屈ではない部分」=樹木に触れるとリラックスする効果について科学的観点で見てみると、「フィトンチッド」という物質が関係していることが知られています。
フィトンチッドは、樹木が微生物や害虫から自分の身を守るために発散している物質で、これを人間が吸い込むと自律神経が安定し活力が増すということが、科学的に証明されています。
そのような私たちの身体の芯まで届く効果というか、表層の部分ではない根源の部分に働きかける要素こそ、人が毎日生きる空間(つまり住まい)には最も必要だと考えます。