プチコラム09 誰のための家づくり?
大事なのはデータ的にどうかではなく、どう「感じるか」
「数値」よりも「感覚」を優先する家づくりを
家づくりにおいて、この「体感温度」という考え方がとても重要になってきます。
気温そのものは上がってはいるものの50年前とそんなに大きくは変わっていないのに、なぜテレビでもなんでも口癖のように「昔はこんなに暑くなかった」と言っているのか……。
最大の原因は「温度差」による「体感温度」です。
たとえば、クーラーをガンガン効かせた部屋からいきなり外に出たら、猛暑日でなくとも暑く感じます。人間の体は環境に適応するようにできていますから、私たちが感じているのは気温そのものではなくて、温度の「差」なんです。数値ではなく「感覚」です。
家もそうです。
本当に大切なのは、耐震等級や外皮熱貫流率がいくつだとか、材料が何だとかではなく、その先にある「空間の心地良さ」です。性能の数値も、材料の成分も、何もかも、すべては住む人が心地良いと感じるための手段であり目的ではありません。
決して性能を否定しているのでなく、その先にある目的がしっかりとなければ、性能は机上の数字遊びになってしまうということです。
つまり家づくりで大切なことは、どういう性能の箱をつくるのかではなく「どう感じる環境をつくるか」ということです。それは家をつくるという発想ではなく、「暮らしをつくる」という発想で導かれます。